部屋の中は思ったより荒れていた。紙という紙が散らばっては破られ、壁も傷だらけ。電気は消しているのではなく、付かなくなったというのは床に落ちている元々は丸いであろう蛍光灯を見ればわかった。

ボロボロに切り刻まれているベットに悠雅は座り込み、大きくため息を吐く。


「...ごめんね真帆ちゃん。千紗を見つけるのを助けてくれと言ったのに、そんな時にはもう手遅れだったなんて....」


「....なんで謝るんですか?やめてください。」


「僕は...千紗の抱えていた気持ちを汲み取れなかった。もしかしたら遠回しにでも伝えてくれたのかもしれない。僕は...千紗の助け舟に気が付けなかった。
僕は....本当に馬鹿だ。...本当に本当に...」


「....先輩...」


悠雅は下を向きながら、涙をポロポロと下へ落とす。千紗の事で涙を流している部分は癪に感じたが、真帆はそんな悠雅の姿を記憶に保存するのに手一杯だった。



あぁ....初めてあった時のあの先輩が...こんなにも弱々しく、まるで子犬みたいに....可愛すぎる。
あれ?これハグいける?えっ、ハグはまだ早いでしょ!?いや、でも....これ私が死んじゃう!あぁ!でも、それなら本望だ!!



真帆は目をギンギンに見開きながら、震える手で悠雅の背中を捕らえる。ゆっくりと自分の方へ寄せた。
フワッと悠雅の香りが真帆の鼻を覆う。