あの付近にはもう居ないわ。警察も馬鹿じゃない。結果は見えてるのに余計な事はしないわ。」


真帆は零の発言を黙って聞いた。聞けば聞くほど零の行動を理解し、熱が引いてきた。


確かに...そう言われればそうかもしれない....


「...分かった。そう言われればそうだよね。」


「礼はいらないわ。恩返しがしたいって言うのなら、早く内容が凄い濃いあなたの体験談を聞かせてちょうだい。
他になにか？」


「...あなたが最後に言ってた"害虫"って...」


「もうすぐあなたの前に現れる。説明は不要よ。それじゃあ私締切日が近いの。作業に戻るわ。また何かあったら連絡をちょうだい。」



そう言うと零は一方的に電話を切った。

ツーッ....ツーッ...そんな音を出す黒い画面を真帆は見つめていた。