興奮冷めならない真帆に対して、電話越しの零は落ち着いていた。


「あら真帆じゃない。思ってたより遅いのね。予想だともう少し早く電話をかけてくるのかと思ってたわ。」


「うるさい!私の質問に答えなさい!」


「そんなに怒鳴らないでちょうだい?あなたのためにやったことなんだから。」


「どこがよ!!どこが私にとって得する展開なの!?」


零の一言一言が真帆の怒りの炎を大きくしていく。それはもう真帆自身も制御出来ない炎まで膨れ上がっていく。


「分からないの?なら仕方が無いわ。...あなた、このままだったら一生、悠雅君と一緒になることは無かったの。だから、私はテコ入れしてあげたのよ。」


「は?なんでそんな事を言いきれる訳!?いい加減な推測も大概に」


「千紗の死を知らないのなら、まだ生きていると悠雅君は希望を持つ筈よ。まだ生きているかもしれない千紗が頭にチラついて、いざあなたが告白してもフラれる可能性も高い。

だからここで千紗はもう亡き者と伝えなければ、千紗は悠雅君の中で生き続ける。確実ではないけど、高確率。」


「グッ....」


「大丈夫よ。目撃者なんて居ないし、あなたにはアリバイがある。それに死体は海の底であの日、海は荒れてた。