「...真帆?どうしたの?固まっちゃって。」
晶子に声をかけられ、真帆はハッとした。
ま、まだバレたわけじゃない....本当に連絡だけだったらそれこそ墓穴。
真帆は偽りの自分を表へ出して、必死に演技をした。
「千紗先輩の!?お願いします瀬良さん!千紗先輩は一体どこにいるの?早く迎えに行かないと...早く教えて下さい!!」
「ま、待ってくれ。真帆さん、これは決していいニュースなんかじゃないんだ。
さっき「居場所が判明した」と言ったが正確には「居場所を予測できた」といったところなんだ。」
「ど、どういうことです?」
「近くの海沿いにある山、石綿山。そこのある崖の下から血痕が発見された。検査に掛けたがそれは千紗さんのものだった...」
真帆の演技が徐々に剥がれていく。まるで心臓をトンカチでゆっくりと釘付けしていくかのように、悠雅との未来が壊されていくのを感じる。
真帆の状態を知らない瀬良は話し続けた。
「その周囲を調べてみたが、千紗さんの姿は見えなかった。だから、千紗さんは先日の台風の日に崖から飛び降りたと考えられるんだ。
何か、千紗さんが崖へ身投げする理由とか考えついたりしないかな?本当に些細なことでもいいんだ。」



