花瓶─狂気の恋─


だが、ここまで良い待遇を受けると怪しくなるもの。真帆は何か裏があるのだと警戒していた。


「そんな良い話あるわけないじゃん。あんまり人を馬鹿にするのもいい加減にして。」


「馬鹿になんかしてないわ。至って真面目、真剣に言ってるの。裏なんかない、私はあなたの体験談さえ聞ければそれでいいのよ。」


「...そんなの怪しいに決まってるじゃん!私の体験談になんでそんな価値があるの!?」


そう言うと雫は自分の本を両手で持ち、表紙を眺めた。


「私は....小説を書ければいい。私の生き甲斐は小説、それだけ。別にお金を稼ぐために書いてるわけじゃない。私は書きたいから書く、読んでもらいたいから書くの。そこにお金が発生出来るなら、ついでで稼ぐ。
小説はあくまで趣味よ。

より良い作品にするためにはどうすればいいか、文章力や表現力が同じレベルだった時、上に立つことが出来るその差は作品の物語、構成やクオリティで変わる。

だから、私はとても衝撃的な体験談を探しているの。読者をより作品にのめり込むようにするには現実味のある物語じゃなくちゃあいけないの。分かるかしら?」


「...じゃあ私の体験談は衝撃的っていうの?変人扱いみたいなことをよくしてくれるわね。」


「分かるでしょ?あなたがやったとこは普通じゃないことくらい。一般的に見れば分かること。」