花瓶─狂気の恋─


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待ち合わせ場所は一般のカフェだった。そこそこ評判は良く、一人で読書をしながら珈琲をゆっくりと飲みたい人にとってはもってこいのカフェらしい。
店内には心を癒される、落ち着けるようなBGMが流れていた。まるで女神がハープの音色を奏でいるように優しさに包まれるような感じ。

だが、真帆にとっては鬱陶しくてたまらない。癒しの音色は不安に変わり、身体にネットりと絡み付く。

そんな最悪な気分に浸りながらも、真帆はカフェの奥席で珈琲を飲んでいる女性目掛けて足を進める。
例の女性だ。

女性は真帆に気が付くとニコッと笑顔を向けた。


「良かった。ちゃんと来てくれたのね。」


「来るに決まってるでしょ?あんたが何をしでかすか分かんないし。」


「まぁそうね...取り敢えず座ったら?何か飲み物でも頼む?奢るわよ。」


真帆は女性の言葉に従って席に座るが、飲み物は拒否した。


「いらないのね....そう、まぁいいわ。本題に早速入りましょうか。」


「じゃああんたが何者か、何の目的があるかさっさと言って。私も暇じゃない、やらなきゃいけない事があんの。」


女性は珈琲を一口飲むと、あらたまった表情に変わった。