真帆は階段を一気に降りて下駄箱で靴を履き替えた。
今日は真帆の弱みを握る唯一の存在、あの女性との待ち合わせがあった。一体どんな事が起こるのか全く検討もつかないが、もしもの為に大きなカッターをポケットの中にしまっていた。
校門を出る直前で一人の人影が真帆の目の前に現れた。晶子だった。
「晶子?どうしたの?」
「あっ、うん。あのね...その....真帆さ、あの...行方不明になってる先輩と仲良かったじゃん?」
「......そうだけど?」
「だから...大丈夫かな〜って思って....授業中もずっとボーッとしてたし、とてもじゃないけど話し掛けれなくて...だけど、心配で...
だって、真帆ってあんまり人と関わろうとしなかったじゃん?だからあの先輩と仲良くしてる姿見ててさ...正直嬉しかったんだ。自分の事みたいに...」
「....そうだったの?」
「うん。だから、あの先輩がいなくなっちゃって、真帆大丈夫かな?って...」
ここでいつもの真帆ならため息の一つや二つ吐く場面だ。千紗がいなくなったのは真帆のせい、そんなの余計のお世話と思われる落ちだ。
だが、真帆にとって晶子の存在はとても大きかった。悠雅と出会う前から支えてくれた唯一無二の親友、家族のような人物だった。
だから、こんな風に心配されるのは普通に嬉しかったのだ。



