真帆は何かいいたげにしたが、結局ぐうの音も出なかった。そんな真帆を見て女性はニコッとした。


「大丈夫よ、私を信じて。きっとあなたとは良い話し合いが出来ると思うわ。これからアリバイ作りでしょ?頑張ってね。」



そう言い残すと、女性は山の中へ姿を消した。
真帆は女性の背中を見て、ギリギリと歯ぎしりをしたが、早く部屋に戻らないと努力がパァになってしまう。

真帆は結局名前すら知らない女性とは違う方向で家目掛けて走った。

千紗を殺せた歓喜、女性の予測不可能な目的の不安。真帆はなんだかよく分からない気分になっていた。