花瓶─狂気の恋─


それに台風のおかげで"高潮"が起きて、海面が上がる。それもこの台風は大型、通常よりもっと海面は上がって波は荒れる。
あなたは海の藻屑になる。そのこびり付いた血も取れる。

...後、ムツを見逃したのは事故死に見せかける為。だって殺人だったら証拠になる犬も処分したいでしょ?でも大丈夫。あいつ....私に怯えてたし!」


自分でもすごい幸運だと思っていた。早く殺したい、なるべく見つからずに、完全犯罪に近いような形に、そんな条件を合わせるかのように現れた大型台風とこの場所。
真帆のアリバイもこの後千紗と遊ぶ予定で、部屋で待っているという設定だ。

真帆はこっそり部屋から抜け出し、人が少ない時間帯と場所を通った。もし、見られたとしてもそれはコンビニ行きたいとか何とか言えばいい。母親には"もしかしたらコンビニ行くかも"というあやふやな口実を作っていた。
それに、真帆の家は山と近い。崖とは離れているが、山に入ってしまえば人の目を気にすることもない。

まるでこの日の為に用意されたような感じ、真帆はゾクゾクと鳥肌が立った。


「ふふふっ....私は幸せになる...あんたとは違う!私は何としてでも先輩を手に入れて見せる!それが運命!私の宿命だから!キャハハハハ!!」