真帆は標準を定めて石を落とした。石は重力の力を借りて猛スピードで千紗へ落ちてきた。狙いは皮肉にも完璧だった。
千紗は最後の力を振り絞って落ちてくる石を手で避けようとした。直撃だけでも避けなくてはいけないと思ったからだ。
だが、千紗は重傷。正常な判断をするのが難しい状態が故に間違えていた。
真帆が重そうに持っている程の大きな石をそもそも自力受け流す事など不可能なのだ。
もし、その判断があったとしても千紗は腕しか動けない状態。結果はどう転がっても動かないのだ。
石は行く手を阻む千紗の腕ごと顔面に突進した。
石と石がぶつかる音、肉が潰れる音が絡み合う何とも言えない音が聞こえた。
ピクピクと痙攣していた千紗の足は間もなくして動かなくなった。そんな千紗の姿を見て真帆は勝者の顔で見下しながら呟いた。
「....先輩、あなたは発見されない。あなたは約束通り私が用意した地図と封筒を持ってきた。あなたがここに来たのは散歩のついで、つまり誰にも言ってない。証拠はこの紙だけ。」
真帆は封筒ごとクシャクシャに丸めると、青い海に投げた。
「それにここには人がしばらく来ないの。なんで?それは大型台風がくるから。台風の中、そもそも人気がもう底辺まで落ちてるこんな山まで来ないでしょ。



