自分のストレスの元凶、悠雅との大きな壁を壊せることが出来た。その大きな一歩を踏み出せたことが何より良かったと感じていた。
ふふふ...これで....これで邪魔者は消えた!後は先輩と一緒になるだけ...ラブラブになって、プロポーズされて、子供に恵まれて〜。私の幸せな人生が始まるんだ....ようやく!!
「あっ...うううあ....」
そんなかすれた声が聞こえたような気がして、真帆は崖の下を覗く。千紗はまだ生きていた。死にかけだが、微かに意識があり、真帆の方に片手を上げて助けを求めていた。
「た...だずげ....で......ごめんな...ざい...ゆ、ゆるじで....ゴボッ!...ぐ、ぐだざい....」
「あぁまだ生きてたんですか。本当にしぶといですね。まるでゴキブリ!キャハハハハハ!!
あっ!それより一眼レフ壊れちゃってますね〜。それで泣いてるんですか?ふふふ」
そう言うと真帆は崖から離れていった。
そして数十秒後に顔をひょっこりと出すと、手に何かを持っているのが千紗はうっすらだが見えた。
真帆が持っていたのは千紗の顔より大きい石だった。真帆は両手で重そうに持って、そのまま崖の外まで手を伸ばした。
石が千紗の頭上に来るように...
「そんなにキャッチボールしたいんですか?こっちに手を伸ばすってことは。
でもすいません、生憎こんな物しか無くて....さぁ!ちゃ〜んと受け取って下さい...ねッ!」



