「も、もしかして初めて顔合わせた時ぶつかっちゃった事?....あの時は本当にごめん!!私わざとじゃなくて本当に気が付かなくて...」
千紗の答えに真帆は鼻で笑った。ここで無表情だった真帆は少しだけ口角を上げ、感情が顔を出した。
真帆は足を止めず、ゆっくりと近寄ろうと歩いていた。
「違いますよ...そんなんじゃあありません。もっと根本的な問題ですよ。本当にカンの鈍い人ですね。虫唾が走る。」
「こ、根本的な?」
「分からなそうなんで言いますね。あんたが犯した罪、それは"生まれてきたこと"ですよ。」
「な、何でそんなこと....私、真帆ちゃんに嫌な思いさせちゃった?そ、そういう所は直すから言ってくれないかな?」
「..."私に嫌な思い"?....違う...違う違う違う!!!」
真帆の顔はみるみる険しくなっていく。千紗を睨む眼光は更に鋭さを増し、まるで包丁を向けられているような感じがした。
「あんたが!あんたごときが悠雅先輩をたぶらかさないでよ!!見てて虫酸が走る!私の先輩に何色目使ってんのよ!!」
「へ?...ゆ、悠?」
「その一眼レフもどうせ先輩と一緒に居たいがために買ったんでしょ?白々しいんだよ!あんたは写真が好きじゃない....悠雅先輩が好きなだけの雌豚でしょ!?
あんたが先輩と一緒になれる訳が無い...一緒になれる資格はない!!」



