真帆はその伸びている鼻をへし折りたくてしょうがなかったが、出来るだけ不自然のないように振舞った。

そこから千紗は次々にアドバイスを意気揚々と答えたが、真帆にとってはただの雑音。そんな雑音聞くまでもなく、聞き流していた。

すると、そこに悠雅が真帆の後ろから近付いてきた。真帆が気が付いたのは悠雅が話し掛けてきた時、つまり真後ろにきた時だった。


「二人共、何やってるの?あっ、教えてもらってるのかい?千紗はやめた方がいいのに。すぐ調子乗るからね。」


「あっ...あ....う」


真帆は言葉を失った。短い期間だが真帆にとってとてつもなく長い期間だった、悠雅との接近。不意打ちのタイミングでとても近い距離、当然真帆は心臓は爆発寸前だった。


「もう!すぐにそう言う事言う!真帆ちゃんが"私に"ってことなの。悠じゃなくて"私に"だから。嫉妬してるの〜?もしかして〜?」


「...なんでそうなるんだよ....それより問題は内容だろ?真帆ちゃん。どんな事を教えてもらったの?」


「あっ...へ....」


真帆はまだ正気に戻れない。まるで砂漠で野垂れ死にそうな時に見つけるオアシスのように、悠雅が輝かしく神を見ているよう。


「ちょっと!そんな言い方されたら真帆ちゃん固まっちゃうでしょ!?一番後輩なんだから気を遣わせちゃうって。そういう鈍いところあるよね悠って」