「分かったわ。じゃあ一時間後にいつもの喫茶店で。
あ、少し聞きたいんだけど...."雫ちゃん"、まだ引きこもってるの?」


そう聞くと、電話口の渚の溜め息が聞こえてくる。


「相変わらずです。「勝手に入ってきたら警察へ連絡するのと引退する」と言い出してから二年、作品は送ってくれるし電話にも出てくれますが、誰とも会おうとしない。これじゃあサイン会も開けないですし、直接の打ち合わせも出来ない。
一条先生同様に多くのファンの皆様が可哀想で....」


「そうね...でもあの時の雫ちゃんの目は普通じゃなかったから何をするか分からないわね。」


「そうですよね...まぁ声かけは続けてみます。一時間後でしたよね、お待ちしております。」


そう言い残されて電話が切られた。久美は深い溜め息を吐きながら、ソファーに座り込む。目の前の長机に置いてある何枚かの写真を手に取り、一枚づつ確認していく。写真には人の顔が写し出されていた。


「さて....今度は誰にしましょうかね〜。」


写真を楽しそうに見ていると、視界の端に花瓶が映った。何の花も水すら入っていないただ机に置いてある白い花瓶。一度も使われていない新品の花瓶を久美はじっと見つめた。


真帆...私のサイコパス定義はね?殺しが当たり前に変わっている人の事だと思っている。