『続いてのニュースですけど...草山高校生の大失踪事件、六名の高校生の行方が分からない状況がまだ続いております。警察も必死に捜索していますが未だ六名の発見には至っていません。
今朝早くから自衛隊や地域の人達により東崖山の大捜索を始める予定です。皆さん、ほんの少しの情報でいいんです。これから未来に羽ばたいていく六名の生死がかかっています。気になることがあればすぐに当ラジオ、警察への報告をお願いします!』


「.......晶子を殺しておいて正解だったわね...見つかるのも時間の問題か...良かったわね、皆が見つけてくれるわよ?」


煙草の煙を空へ向けて吐くと、皮肉に鼻で笑った。空の上から自分を憎む顔が何人も浮かんでくるが、どうも思わなかった。気付けなかったあんたが愚かなだけ、そう思っていたからだった。

すると後ろポケットに入れて置いたスマホがなり始める。ベランダからリビングへ戻り、スマホを耳に当てた。


「...もしもし?」


「あ、もしもし"一条"先生ですか?担当の渚ですが。今どちらへ?」


「あぁ渚君。一条先生って堅苦しいこと言わないで"久美"でいいのに。今はいつもの別荘よ。なんだかんだ気に入ってるからね。」


「わかりました。今日何かご予定でもあります?今度のサイン会と新たに出版する本について少し打ち合わせがしたいので。」