ジリリリリリ!!ジリリリリリリリ!!


心地よい暗闇に身を任せている中、目覚まし時計の音が暗闇に手を突っ込んできた。意識を掴まれ、無理矢理現実世界へ引っ張り出された。

瞼を嫌々開け、憎き目覚まし時計の音を苛立ちをぶつけるように強く叩いて止める。一日の始まりを実感し、深い溜め息を吐きながら布団から出る。
下着を履き、軽い格好へ着替えるとボサボサになった髪を掻きながら台所へ向かった。

マグカップに温かい珈琲を注ぎ、ゆっくりと口へ流し込む。苦いのに気分は落ち着き身体がポカポカ温かくなるのを味わっていると、小鳥の鳴き声が聞こえてきた。

その鳴き声に導かれるようにマグカップを持ちながらベランダへ向かった。

ベランダからの景色は自然に恵まれていた。住宅街から見えるビルのような建造物は何も無く、晴天の光を浴びて木々や小動物は元気よく生きていた。
人口建造物に囲まれたこの現実世界では見ることは少ない自然、数少ない楽園だった。

ポケットから煙草を取り出し、珈琲と一緒に味わいながらラジオを聴くのが朝余裕があるときの日課になっていた。

煙草と珈琲を身体に染み込ませるように味わっていると、ラジオから気になる事が聞こえてきて煙草を吸う手が止まる。