雫は真帆に優しく声をかけた。それが聞こえた瞬間、真帆の涙がピタリと止まった。
ドクンッ!
狂気の鼓動が聞こえる、真帆の身体の中で満たしていた悲しみが一気に赤く染っていく。怒り、憎しみで赤く染っていたものは黒く変わっていく。
「なんで...先輩が死んだ?調教は完璧だった。嘘発見器は壊れてなかったからそれは確実。じゃあなんで耐えれなかった?愛じゃあ耐えられないの?なんで耐えられない?そもそもそれは誰が言った?先輩が死んだ理由?.......オマエダヨネ?」
真帆は悠雅の身体から離れる時、瞬間的に立ち上がり振り向きざまに雫に向けて包丁を振った。
いきなりのことで反応しきれず、真帆の包丁は雫の頬をかすっていった。
雫は真帆と距離を置き、ヒリヒリして血が垂れる頬を手で拭った。
「あんたのせいだ!あんたのせいで悠雅先輩は死んだ!あんたのせいで!お前が全部悪い!死ね!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」
コロセ!コロシチャエ!ソンナクソオンナサッサトコロセ!!
真帆の狂気は心の中から語ると、真帆の殺意がどんどんと膨れ上がっていく。ギリギリと今にでも歯茎から血が出そうな程、雫を鬼の形相で睨んでいた。
出口は真帆の後ろしかなく、雫の手元には使えるものが何も無い。絶対的に不利で追い詰められているのにも関わらず、雫は顔色変えずに溜め息を吐く。



