花瓶─狂気の恋─


真帆は最初以上の力を入れて何度も何度も振り下ろした。金槌が対象に当たる度、悠雅の悲鳴が聞こえるがそれは段々真帆には聞こえなくなった。それは真帆が笑っていたせいだった。
振り下げれば下げるほど、悠雅が女になっていく実感が湧き、嬉しさで心がいっぱいだった。


「アハハハハハ!アハハハハハ!!これで先輩は女の子だぁぁぁ!!嬉しいな!楽しみだな!先輩と一緒に過ごせるんだ!やったよ!やったぁ!!キャァァァァァ!!!」


真帆は自分が言う言葉に酔いながら、何度も必要以上に振り下ろした。その姿こそ狂人そのものだった。


真帆が手を止めたのは結局体力が尽きるまでだった。ゼェゼェと息を切らしながら金槌を捨てて、下に置いてある包丁を手に取り、男性器だったものを根元から切った。

包丁は豆腐を切るようにスっとはいり、体力が限界になった真帆でも簡単に切れた。


「はぁ....はぁ....先輩〜。終わりましたよ〜?気分どうですか〜?」


真帆は目が半開きになり項垂れている悠雅に尋ねた。悠雅からの返答を無かった。


「あれ?....先輩寝ちゃいました?しょうがないですね〜。
悠雅先輩〜?起きてくださ〜い、朝ですよ〜。なんてね....ふふふっ」


真帆は悠雅の身体を揺さぶりながら声をかける。だが、やはり悠雅からの返答は無かった。揺さぶられた頭も振り子のように揺れるだけだった。