明るく話し掛けてくる千紗に対して、真帆はポカーンと突っ立っていた。千紗の行動、言葉遣い、悠雅との親近感が真帆のとは比べ物にならない。
圧倒的な差、赤ちゃんとプロのレスリング対決みたいな感覚。
「あ、気にしないでね真帆ちゃん。言葉遣いでしょ?
大丈夫、こいつ僕の幼馴染だからさ。」
「...幼馴染....ですか?」
「うん。近所だったし歳も近かったからよく遊んでたんだ。」
「昔悠とカブト虫を巡って喧嘩したりしたなぁ〜。こう見えて昔の悠って結構ガキ大将みたいなやつだったんだよ?」
「やめてよ恥ずかし。そんなのとっくの前だろ?でも...懐かしいなぁ....」
しみじみと昔の事を思い出している二人を真帆は眺めることしか出来なかった。
何か砕けたような感じ。
そしてそこからズブズブと呑まれていく。負の感情で作られた底なし沼。
真帆はさっきまで輝かしい視界が暗転、絶望感で視界はどんどん暗く狭まっていた。



