足音が響く音を楽しみながら真帆は運命の部屋へと歩いていく。近付く度に鼓動が高まり、期待と希望が溢れ出す。

部屋の前に立ち深く深呼吸をする。両手に握られた金槌と包丁を見ると、これから起こる天国のような結果を想像してゾクゾクする。


嗚呼....長かった...悠雅先輩と初めて会った時からここに至るまでが....もう少し...後ほんの少しで悠雅先輩は私のモノに....


真帆は緊張しながらもその重い扉を開けた。
目の前には運命の人が晶子と泰河同様に椅子に拘束されていた。あまり気分が優れないのか、悠雅は少し弱っているように見える。


可愛い!なんて可愛いんだろ!あんなにキラキラ輝いて先輩がこんなにも落ちぶれて...抱きしめてあげたい!私の愛で満たしてあげたい!私に甘えて欲しいよ〜。


そんな欲望を堪え、部屋に入ると視界の端に雫がいた。腕組みをしながら、これから始まる儀式を見届けようとしていた。


「どう?気分の方は。」


「最高!これなら絶対に上手くいくよね?」


「勿論よ。そして終わった後のインタビュー、何を話すかちゃんと考えておきなさいよ。」


真帆は悠雅の目の前まで来ると、両手に持っていた凶器をそっと下へ置いた。


「先輩。真帆です。会えなくて寂しかったですか?」


「.......泰河を殺したのは本当なのか?」