自分"だけ"にという特別感。悠雅自体にそんな深い意味が無いのは分かっていたものの、嬉しさが勝っていた。
「は、はい!ぜひ聞かせてください!!」
「うん。じゃあさっきの写真をもう一度見せてくれるかな?」
真帆は素早くスマホを再起動。また合法的に悠雅の側に寄れて、尚且つ自分"だけ"の情報。まるで、当たると分かっている福引きをするような感覚だった。
「えっとね?撮り方はなんて言うんだろ...こう」
「ねぇねぇ悠!ちょっと見てよこれ!!」
真帆にとって幸せな空間に外から異物が入り込んできた。その異物はあまりにも大きく、タチが悪い異物だということは直感で理解した。
その異物はあろうことか真帆を押しのけ、一眼レフの画面を悠雅に見せてきた。
「ほらこれ!スズメが雛に餌やりしている瞬間!それにこの顔!たまらなく可愛くない?」
「ちょ、千紗。いきなりなんだよ?確かに可愛いし、貴重な瞬間だと思うよ?だけど、今話してる最中だから....」
異物は押しのけさせられた真帆に気付くと両手を合わせて頭を下げた。
「あっ!ごめん!全然気付かなかったんだ。悪気はないよ?本当に!
確か...一年生の...」
「神崎真帆ちゃんだよ。」
「神崎真帆ちゃん!そうか、真帆ちゃんっていうんだ!私は二年の鷹宮 千紗っていうんだ!よろしくね真帆ちゃん!分からないことがあったらどんどん聞いてきてね!!」



