花瓶─狂気の恋─


何故こんなことに付き合わないといけないのか、さっさと出してくれればいいのに、そんな気持ちが膨れに膨れ上がって言葉へと変わった。


「もういい!そんな事より早く俺達を解放してくれ!外でこの話はしないからここから出してくれ!」



「...............そんな事?」


泰河はそんなに大きな声で怒鳴ったりはしていない。少しいつもより大きめな声で助けを求めた程度、相手が苛立っていると感じるくらいでしか泰河は言っていない。

大した要求もしていない。ただ解放してくれと願っただけなのに、真帆の顔から先程の笑顔が消え去り、冷徹な目で泰河を見た。

明らかにキレていた。泰河はジェットコースターが急低下するように腹が浮き、サーッと青ざめた。
暴言は吐いていなく、怒らせる気はさらさらない。だが、何か爆弾を踏んでしまったと泰河は悟った。


「そんな事ってなんですか?晶子の良さはその程度の認識なんですか?好きな相手の話ですよ?悠雅先輩と晶子は無事、自分の命も無事、ここから出られるって保証されてる。それなのに晶子の話より一刻も早く出る方が優先されることなんですか?ねぇ?そういうことですよね?」


真帆はゆっくりと立ち上がり、殺人者の目で泰河を見下した。泰河は自然とガクガクと身体を震わせていた。