花瓶─狂気の恋─



晶子の後ろから聞こえる声、真帆は一気に鳥肌が立ち、意識を声の方向に集中した。聞き慣れた声だが、飽きること無く幸せな気分になれる魔法のような声を出す人物。

晶子が来た道の草木から悠雅がゆっくりと姿を見せた。日常では見ることが出来ない悠雅の睨みと威圧感、悠雅は冷静に怒っていた。
真帆は足をガクガクと笑わせ、口をワナワナと震わした。
突然の訪問者、真帆が連絡したのは晶子だけ。予想外の出来事が起きていた。


「悠雅....先輩...い、いつから....」


「最初から....晶子ちゃんから連絡があったんだ。晶子ちゃんは『真帆ちゃんを刺したのは桃ちゃんで、その復讐で取り返しのつかない事をしてしまい、自分に打ち明けてくると思う。そんな時、僕に力になって欲しい。』とお願いされてね。耳を澄ませて会話を聞いていたら....まさか千紗が消えたのも真帆ちゃんが原因だったなんて...」


悠雅には最後の最後まで全ての真相は黙っておこうと真帆は元々決めていた。いくら自分の事を愛してくれるとはいえ、小さい頃からの知り合いが死んだ理由を聞いたら、悠雅との仲に亀裂が入る可能性を避けたい為だった。

その計画は晶子の友達想いの性格により破壊された。
全てを知った悠雅は呆れた顔をしながら溜め息を吐いた。