何か冷たい物が桃の腕を通る。まるでカードをスライドするかのように、薄い冷たい線が腕に沿って通った。痛みは何も無いが、何をされたのかが分からずそれがまた不気味。
桃は必死に何をされたのか知るため、意識を後ろへ向けた。
ボトッ!.......バチャバチャバチャ!
すぐ後方で何か重い物が落ちると、次は液体が勢いよく流れる音が聞こえる。蛇口を捻った水のように液体は止まることを知らずに出続いていた。
「え?....な、何?この音は何!?」
あまりにも不可解な音。何かをされたのは分かったが、それが何なのか全く検討がつかなかった。
それに答えるように真帆が視界にスっと現れた。生徒玄関に会った時のように日常の笑顔を見せながら、片手に持っていたある物を桃に見せる。
それを見た時、自分が何をされたのかすぐに理解した。冷や汗がブワッと溢れ、意識がそれに集中する。
真帆が持っていたのは腕だった。血に染った腕を桃に向かってフリフリと振っていた。力を無くしている腕は手首をカクンッと折り曲げ、プラプラと指を振っている。
「あれ?痛くないの?痛くしないのは冗談だったんだけどね〜。でも良かったじゃん!腕を切り落とされた痛みを味わないで死ねるなんて。腕より手の方が感覚的に分かるだろうから、右手を動かそうとしてみて?」



