花瓶─狂気の恋─


そしてその姿を雫はじっと見つめ、近寄ってきた真帆にニコッと笑ってみせた。


「お疲れ様、真帆。」


「まさかこの山に隠し部屋があるなんてね。知らなかったよ。なんでこんなの持ってるの?」


「ふふ...それはプライバシーってやつよ。とにかくこれで完了ね。いつでも中の様子を見れるようにあなたのスマホをいじっといたから。このアプリを起動すれば見れるわよ。」


あまりの手際の良さに真帆は不気味にすら思えた。だが、その不気味さも自分の武器になっている。これ程たくましいものは無かった。


「凄いね...あんた本当に小説の為だけに生きてる人間?」


「小説は色んな知識が詰まっているのよ?それを参考にしているだけ。」



「だからって...限度っていうのがあるのに...じゃあもうそろそろ帰らないと。また何か発展があり次第電話する。定期電話でもいいけど。」


「どっちでもいいわ。あなたの話を聞けるなら...出る時気を付けてね、人に見られたらたまらない。」


雫は振り返ってさっさと別の部屋に入った。相変わずのマイペースに真帆は何故か安心すらした。