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肌がくっついてしまいそうな程冷たい床が頬を刺激する事で麻紀は目が覚めた。

真っ暗で何も見えない、四方八方が暗闇に覆い尽くされていた。床はコンクリートで出来ているのは感覚で分かり、音が跳ね返るのを感じて室内にいるというのも理解した。
薬で意識が完全には戻っていないが、明らかな異常事態に脳は無理矢理働かされていた。



「誰かぁ!誰かいないのぉ!!?」


必死に声を出すが帰ってくるのは反射して弱くなっていく自分の声。自分の状況が理解出来ずに麻紀は身震いした。

するとパッと急に電気が着いた。麻紀の上あたりにぶら下がっている電球がチカチカと辺りを照らしてくれていた。

周りを見ると完全なコンクリートの密室、四角形の部屋で端には和式のトイレがあった。
そして反対側にはコンクリートの扉。麻紀はそれを見つけたと同時に扉へ飛びかかった。

だが、ドアノブを引いてもビクともしなかった。色んな方向へ力を押しても全く動く気配がしない。


「はぁ....はぁ...どうすれば....」


全くわけも分からず、息を荒らしてドアから離れると、ドアの小窓から真帆の目が現れた。目だけでも笑っているのが分かり、麻紀はピクピクと血管を浮き出していた。


「なんなのよここ!!早く出して!!」


「出してって言われて出すわけないじゃないですか。頭おかしいんじゃないんですか?」