そうこうしている内に、麻紀はある寺の目の前まで来ていた。少し目線をあげると、大きく"東崖寺"と書かれていた。目的地はこの寺から少し上るとある山道の先、つまり"東崖山"が目的地だった。

麻紀は肩に力が入らない状態、ゾンビのように寺の敷地へ入り山道へ入っていった。
手紙曰く、一本道を歩いていくと少し広い場所へ出てくるから待っているとの事だった。

麻紀はこれから行く場所に二人がいると思うだけで涙がポロポロと出ていた。麻紀は必死になって腕で涙を拭いた。


馬鹿!こんな所で泣いてどうするの!私はないちゃいけない!二人から罵倒されようと受けないといけない!


麻紀はそんな決心を胸に留めたまま、更に一歩前へ進んでいく。
数分後、ようやく広い場所へ出てきた。

大きな木木に囲まれたまるで部屋のような空間、そしてその中心には人影。だが妙な事に一人しかいなかった。
麻紀は顔を覗き込むような体勢ででゆっくりと近付くと、その人物の顔が徐々にくっきりと見えてきた。


「あんた...真帆!?」


「こんにちは先輩。相変わらずテカテカですね。それは日焼け?それとも脂?あ、日焼けしたから脂がのってるんですね。黒豚先輩♡」