ザワザワと人の声、車の走る音、店の音楽に寄って賑やかな街中。そんな嫌気がさしてくるような雑音から逃げるように上を向いて夜空を眺める。だが、その夜空にさえ裏切られた。雲が邪魔をしてその更に上にある綺麗な星空が見えなかった。

たったそれだけで自分は世界から嫌われてしまったと思ってしまい、胃がギュッと締め付けられる。
麻紀は今絶望しながらある場所へ向かっていた。

部屋で一人になっていると、外から投げてきた紙で包んである石。紙には凛と鶴からのメッセージだった。話がしたい、とのことで電話でもいいと思ったが実際に会うのが大事だと麻紀は思った。

麻紀は二人の目の前で土下座をする覚悟だった。鶴はあんなに止めてくれたのに、その忠告を無視した。凛は元々の性格を知っていた上で自分と同じ地獄へ招待してしまった。

麻紀の頭の中には、動画を撮った犯人の事は考えていなかった。好きな人の事だけ頭がいっぱいで、嫉妬で人を痛ぶり、そして地獄へ落ちる。その性で二人も同時に落ちた、自分が落としたと言っても過言ではないと思っていた。


「凛....鶴....本当にごめんね....」


誰にも聞こえないが、呟かずにはいられなかった。それほどに麻紀の中は悲しみと後悔しかなかった。