真帆は優しく声をかけると、凛は頷いた。言葉の意味はあまり理解していない、ただ自分が助かりたいという一心だった。


「色々と細かい事を聞かれると思うので、このメモ用紙渡すので全て暗記して処分して下さい。もし、違った内容を話したりして私が捕まったとしたら....少年院出た後地獄の果まで追い詰めて殺すからな?分かったか?」


凛は真帆が言った"殺す"の信憑性をすぐに理解した。友達がいう"殺す"とは全くの別物、一度一線を超えた人しか使えないような力を持つ"殺す"。真帆が千紗を殺したということは勿論知らない凛だが、その力に圧倒されて激しく頷く。


「.....じゃあお疲れ様でした。これから九時まで頑張ってここにいて下さいね〜。」


真帆は軽い口調でそう言うと、凛の上から離れて細道へと消えていった。凛は真帆の後ろ姿をボーッと見て、渡されたメモ用紙を大事に握った。


「...覚えなくちゃ....完璧に覚えないと殺される....」



凛は麻紀の身の安全などどこかへ消えてしまっていた。彼女らの友情はそんなに薄い訳では無い。真帆の殺意と恐怖がただ強すぎただけだった。