真帆は自分の部屋で盗聴した悠雅の声を聞きながら写真を見てうっとりとしていた。
悠雅の声を聞くと妄想よりも写真に映し出される悠雅の声が聞こえるからだ。

部屋は鍵を閉め、カーテンを閉じて部屋は完全に真帆一人の空間になっていた。誰にも邪魔はされたくない、例え日光の光にも自分と悠雅による妄想世界には入らせたくはなかった。

写真のコレクションは百枚以上にもなっていた。撮れば撮るほど自分の世界が広がっていく。これがいつか現実になると思うだけでも真帆は心踊っていた。


「はぁ....悠雅先輩...なんでこんなにカッコイイのに可愛らしいんだろ?頭をなでなでしてあげたい....」


そう一人で呟いていると、自分の世界に異音が響いた。自分の携帯の着信音だった。
真帆はムスッとしながらも電話を取り上げ、画面を見た。


「あ...今日だっけか?報告電話...すっかり忘れてた。」


真帆は画面を操作し、耳元に携帯を当てた。



「もしもし。雫?」


「真帆。どう?先月と何か変わった?変わったわよね〜?害虫が現れたんでしょ?私の言いたいことが理解して貰えたかしら?」


「....なんでそんな事知ってるのよ...まさか、こそこそ嗅ぎ回ってんじゃ」


「そんな事しないわよ。私は忙しい身よ?原稿の締め切りも近付いててそんな余裕ないわよ。」