ゴクリと息を飲み、その硬直状態が数分続くかと思われたが、桃はスっと目線を外すと階段を降りていった。
その不気味すぎる行動に真帆は動揺を隠せずにいた。
な、なんなのいきなり....害虫がそもそも何なのか分からないから判断の仕様が...
真帆はゆっくりと降りながら桃がいるかどうか確認していた。
桃の姿は結局見えず、真帆はホッと胸を撫で下ろすと、自分の教室へと向かった。
つまらない授業を終え、真帆は真っ先に部室である視聴覚室へ向かった。
先程の疲れ気味だった悠雅を至近距離で見れるなど、現時点の真帆にとっては何よりも優先すべき事だった。
保存してある屋上から撮ったあの顔を見ながら、真帆は興奮と期待で胸を高鳴らせていた。
真帆は視聴覚室の前に立つと、深く深呼吸をして感情を抑えた。真帆はまだ悠雅が学校へ来ているとは知らないと言うことにしておきたいのだ。
ガラガラっとドアを開けると既に先に着いていた何人かの部員が作業していた。
そしてその中には悠雅の姿もいた。
悠雅はドアが開く音に気付き、真帆と目が合った。悠雅はやっている作業を手に止め、すぐに真帆の元へと歩いて行った。
近付くにつれ、真帆の心臓はバクバクと音を立てる。



