あたしは新聞紙を受け付けに置いて図書館をあとにした。

なにも耳に入らなくてなにも聞きたくなくて

家に帰ろう
睦月が待ってる

フラフラと歩き出した。だけど家がどっちかわからない。
来た時は分かったのに。

「どうしよう…携帯…」

ポケットを探すけど携帯を忘れたことに気づいた。
もう頭は真っ白。
あたしはすぐ近くのベンチに座り込んだ。

「なにがどうなってるの?」

頭を整理する。

睦月のお父さんは睦月のお母さんを殺した。

お母さんは睦月のお父さんと不倫して愛し合っていて

共犯者。

お父さんは知ってたのかな?

お母さんの浮気に。


ねぇ、なんでそうなる前に止めなかったの?

ねぇ、あたしとお父さんがいたのになんで浮気したの?

聞きたいことは
責めたいことは

いっぱいあるのにみんなあたしの周りからいなくなっちゃって

聞けないんだね。