逃げるように南の前から立ち去った。

 あの指輪を見てから、南にどう接していいのか困っている。
 あんな指輪1つで。と、思うのに、彼氏がいるのか、なんて軽く聞くことさえ出来ずにいた。

 しかも………。

「見ていて、こちらも胸が押し潰されそうなんです。」

 そう泣きそうな顔で訴えた南を慰めて撫でたい衝動に駆られた。

 撫でて抱き締めて………。

 大きなため息を吐いて頭を振った。

「何を……馬鹿なことを。」