「どうするんですか！」

　総務部の子達と別れ、みんなで戻る帰り道。
　隼人さんが加賀さんに抗議する。

「どうもしないが？
　あの子達も内緒にしてくれるって頷いてたろ。」

　涼しい顔で言う加賀さんはいつもの加賀さんで少しだけホッとする。

「絶対に内緒にしとかないやつでしょ！あれ！
　男が好きだなんて噂が立ったら………。」

　加賀さんに食い下がって抗議していた隼人さんが私の方を向いて言った。

「南ちゃん。俺、違うから……。」

　涙目で訴える隼人さんに吹き出した。

「大丈夫ですよ。」

　ぱぁーっと顔を明るくする隼人さんに付け加えた。

「お二人でどこかに消えても私たちは何も言いませんから。」

　美智さんは隣でクスクス笑い、加賀さんは「おっ。南、気が利くな」なんて言って笑う。

　隼人さんは「南ちゃん！！！」と怒ったように名前を呼んだ。

「僕、女の子が好きだからね！」

「フッ。分かった。分かった。」

　再び隼人さんを引き寄せ、腕の中に隼人さんを抱いて歩く加賀さんは楽しそうで。
　２人が本当にお似合いなのが余計に笑いを誘う。

　隼人さんは加賀さんの腕の中でもがいて抵抗するのに、またしても頭にキスを落とされていた。