角を曲がればアパートってところで、百合さんからメールが来た。




『あんたの大事な彼女は預かった。返して欲しければ、物音たてずに私の部屋まで来い』




…何、このメール。



全然脅迫メールって感じがしない。






柚、百合さん家で飲んでるってことかな?




とりあえず、言われた通りに静かに百合さんの部屋に向かった。






「ごめん。物音立てるなっていうから、勝手に入ってきたぞ。」




そう言ってリビングまで来ると、柚はソファで眠っていた。




「あー、ごめん。寝ちゃったってことね。」





そんな柚を連れて帰れって意味でメールが来たのかと思い、柚の元へ行こうとしたら…




「ちょっと待った。あんた、柚奈がこんなになるまで酔いつぶれて寝てんのに、どうしたのかな、とか思わないわけ?」




そう言われながら、百合さんに睨まれた。




いやいや、あんたらが飲ませたからだろ、と言いたいところだが…




それは確実にキレられそうなので、黙ってお姉様方の意見に耳を傾ける。




「昨日さ、ベランダで芽衣と何話してたの?」



「は?芽衣と…?………何話してたっけ?」




突然そんなこと言われても、思い出せない。




つーか、それ関係あんのか?




「あんたね、柚奈がそれ見てヤキモチやいてたの、気づかなかったわけ?」




……ヤキモチ?



つまり嫉妬…ってこと?






「……ちょっと、何ニヤついてんのよ。」




「あ、すみません…つい。」





だって、そうだろ?



何話してたかも思い出せないただの世間話で、柚はヤキモチやいたんだろお〜!!




「それで、今日芽衣があんたの部屋の前で待ち伏せてたところに、柚奈が鉢合わせて。あんたと話したいから待ってるんだって、あの子堂々と言ってたわよ?」




百合さんの言葉に、俺は首を傾げる。



「もしかして…芽衣が俺に気があるとか思ってる?ないない!だって二人も聞いてただろ?俺と柚が婚約した話。」




納得させられたのでは、と自慢気に二人に話すと…




「これだから、自覚症状のない男は困るのよねー。」



かえって二人を呆れさせてしまったようだ。