本題に入ろう。




「おばさん、私達が前来た時…お父さん今でもたまに来るって言ってましたよね?」




「言ったわよ〜確か、最後に来たのは…3ヶ月前…?くらいだったかしら… 」




おばさんも正確に覚えてるわけではなかったみたいだが、確かに冗談や嘘とかではなく本当に来ているようだった。




「そうなんですね…… 」





「美羽ちゃんの事今でも心配してて、ここに来てないかとか近くで見てないかとかよく聞いてくるわよ」




「お母さんと離婚したのに、私に今更何の心配してるんですかね…?」




「自分の子供だからじゃないかしら?」とおばさんが言ってきた。




それぐらいしか私も思いつかなかった。




私にはお父さんが今でも何故心配しているのか、疑問でしかなかった。




確かに、私には優しいお父さんだった記憶が少し残っているけれど…、小さい頃だった為あまり覚えていない。





どんな人だったのか全く思い出せなかったのが事実だ。




どこでお母さんと出会い、なんで結婚したのか、どういう風にお母さんと私に接していたのか、すごく気になった。




私はお母さんとお父さんの話はもう全然してない。




最後にお父さんの話をしたのは、お母さんが『働きに出ないといけないの』と言ったあの時が最後だった。




それに、前に来た時おばさんが今は結婚してないみたいと言っていたけれど、それは本当なのかな?




でも本当かどうかは本人しか知らないよね…。




私に対しては優しいお父さんだったから離婚した事を知った当時悲しかった。




お母さんもあまり家に帰らない日が続いて、どうしてこうなってしまったんだろうとひたすら考えた。




それも、お父さんが浮気をするからいけなかったんだとそう思い込んでた。




きっと、お父さんは悪気はないんだろうけど…誰に対しても優しかったんだ。




その優しさこそがお父さんのいい所でもあり、だめなところだったんだと私は勝手ながらに思った。




「……もう1度…あの頃みたいに、戻れないのかな…って考えてたりしてるのかな…」




私は小声で呟いた。おばさんには距離的に聞こえない。




樋口くんは隣にいるからぎりぎり聞こえる距離だった。




でも、ありえなくはないよね。




だって、今でも心配してるって…普通ならもう忘れて新たに家庭を持っててもおかしくない?




浮気性だったんなら尚更…。