「じゃあ行こっか」




「うん!」




私は喫茶店の場所を知らないので、ひたすら樋口くんについてった。




いつも寄り道する、駅の近くである事が分かった。




でも駅の近くでも私の家の方角に近かった。




…てことは、私の家の方角によく来るのかな…?




「ここだよ」




「わあ…!こんなとこに喫茶店なんてあったんだ!?」




少し狭い道を入って抜けた所に、あまり人に知られていなそうな喫茶店があった。




中に入るとさらに驚いた。




中は木材が中心な作りになっていて、左に大きな本棚があり、幅広い種類の本が置いてあった。




すごく落ち着くような喫茶店だと思った。来たこともないはずだけど、どこか懐かしいようなそんな感じがした。




樋口くんの話ではおじさんとおばさんが2人で経営しているお店らしい。




おじさんが注文を聞きに来た。




「おや…、美羽ちゃんじゃないかね…?」




「えっ…どうしてそれを…??」




「よく美羽ちゃんが幼い頃お父さんと2人で来ていたじゃないか」




「え…?そうだったんですか??でも私覚えていなくて…」




「そうだねえ…美羽ちゃんもまだ小さかったからねえ…」




まさか、樋口くんに教えてもらった喫茶店が、昔行ったことあるお店だったなんて…思いもしなかった。




「最近よく来てくれる男の子とお友達だったなんてね、ミルクティーでいいかね?」




「それでいいよな?」




「あ、うん!お願いします!」




「ごゆっくりどうぞ」




「まさかあのおじさん達と知り合いだったなんてな」




「私もびっくりした、でも小さい頃のことあんまり覚えてなくて…」




「そうか」




「お待たせしました 、美羽ちゃんこれ、サービスね!良かったら貰って〜」




注文したミルクティーだけじゃなくて、おばさんがスコーンを出してくれた。




「えっ、わざわざありがとうございます!!」




「いいのよ〜、覚えてないみたいだけど美羽ちゃん久々に来てくれたから嬉しいのよ」




「覚えてなくてすみません…!良かったら少し昔の話聞かせてもらえませんか?」




「いいわよ」




「勉強は後でちゃんと真面目にやるから!樋口くんも時間さいてごめんね…?」




「俺も聞いていいのか?」




「樋口くんなら…大丈夫、私の事知って欲しいから」




「そっか、わかった」




「ありがとう」