「あの時、部長、暁里さんの方チラチラ
見ながら、ちょっとイライラしてましたよ。
あの強制送還も、飲み過ぎたからって
いうよりは、石原さんから引き剝がしたかった
からだと思いますよ。」

百合ちゃんは、にこにこ笑う。
さっきまで泣いてたのに、周りを気遣って笑えるなんて、百合ちゃん、大人だなぁ。
こんないい子を振るなんて、田中君、バカじゃないの!?

「へぇ、なんか、嬉しい…」

私が言うと、

「暁里さん、幸せオーラ全開で出てますけど。」

と桜が言う。

「ふふっ
実はね〜、昨日、引っ越したの。」

「え? どこへですか?」

「悠貴さん家。」

「同棲って事ですか?」

「うん。」

「それは幸せオーラ全開でも仕方
ありませんね。
っていうか、同棲初日に飲み歩いてて
いいんですか?
手料理とか作って待ってるものなんじゃ
ありません?」