悠貴さんの言葉を聞いて、私は目を見開いた。

「結婚の挨拶に来たわけじゃないのに、結婚
させないって宣言したんだと思ってた。」

「くくっ
まぁ、それもあるけど、東京にいる間、貸して
くださるって事は、付き合ってもいいって事でしょ?
今は、それで十分だよ。」

悠貴さんが頭を撫でてくれた。

「キャー!」

晴がまた叫んだ。

「佐久間さん!
『今は』十分って事は、将来は不十分って
事ですよね!?
お姉ちゃんは鈍感だから、さらっとプロポーズ
混ぜても気づかずにスルーするから、気を
つけてくださいね。」

「え!?」

私がきょとんとすると、

「ほら!
やっぱり気づいてない。」

と晴と旭がけらけらと笑った。

「暁里、晴、旭、運ぶの手伝って。」

台所から母が呼んだ。