「"鬼"って言っても、所詮、ただの男だった
って事だろ?
気に入った女を連れて歩いて、いいように
洗脳して。

瀬名、部長はやめとけ。

瀬名は、俺が守ってやる。
これまでもこれからも、瀬名は俺が守る。
だから、俺にしとけよ。」

「え?」

「俺は、瀬名が好きだ。
ずっと好きだった。
だから、俺と付き合おう?」

「え?
あ、あの…
急にそんな事言われても…」

私は、うろたえて、しどろもどろになる。
すると、田中君は、ひとつため息をついて、

「そうだよな。
ごめん、焦りすぎた。
ゆっくり考えていいから。
でも、俺は本気だから。
それだけは覚えておいて。」

と笑って私の頭を撫でた。

どうしよう…

私の頭は、パニックを起こしていた。