"鬼"上司と仮想現実の恋

私たちは、通り沿いにある喫茶店に入った。

「アイスコーヒー。
瀬名は?」

「アイスカフェオレとガトーショコラ。」

「かしこまりました。」

店員さんが厨房に下がると、

「お前、また、ケーキ食べるの?」

と田中君が聞いた。

「ハンバーガー2個食べた人に言われたくない。」

と私が言うと、

「あ、そ。」

と田中君は笑った。


「そういえば、石原、なんでお前に
つきまとってんの?」

「知らなーい。
本人に聞いてよ。」

「お前、歓迎会で気のある素ぶりとか
したんじゃね?」

「してないよ〜。
彼氏いないって言ったら、
『立候補していいですか』って言うから、
『すぐに落選しますよ』って、
はっきり言ったんだけど。」