"鬼"上司と仮想現実の恋

私たちは、社長室へと案内された。

「失礼します。
ヒロセ事務機器の田中です。

今日は新人の瀬名を同席させていただきます
ので、よろしくお願いします。」

「瀬名です。
よろしくお願いします。」

私は名刺を出した。
先週できてきたばかりの営業の名刺。

「これは綺麗なお嬢さんだね〜
山波です。
よろしくね。」

と山波社長は名刺をくださった。

商談は和やかに進み、田中君は見積書を出す。

「んー、金額がね〜」

山波社長は渋る。

「金額に見合うだけの効果はあります。
長い目で見て、今、投資しませんか。」

田中君が畳み掛ける。

「ここにいる瀬名は先月までシステム開発を
するSEでした。
うちのSEは、本当にいい仕事をします。
信じていただけませんか?」