「咲良(さくら)!」


聞き慣れた声に振り向けば、そこにはいつもと変わらない笑顔で 乃亜が手を振りながら走って来る



「おはよう、乃亜(のあ)」



少し息を切らしながら 乃亜は私の肩に手を置いて


「おはよう、歩くの速すぎる!」

って


「そー?私には普通なんだけどな。
乃亜がちっちゃいからじゃない?」



少しニヤついて彼女を見れば、乃亜は少し頬を膨らませ



「チビな上にコンパスまで短いって?」



深読みは彼女の得意技で、単純な私はいつも乃亜の発想に感心する



「またー、そこまで言ってないでしょ。
早く教室行こ。」



少し甘えた様に 乃亜に腕を絡ませると、



「どーせ咲良には 何一つ敵いませんよーだ!」


と、不貞腐れながら頭を私の肩に寄せた。



…可愛い



そう、乃亜は色白で小さくてフワフワしてて
とても可愛い



私に敵わないなんて謙遜も甚だしい。