助手席に座るとドアが閉められ、専務も回ってきて運転席に座ると車は動き出した。


「それ、気に入ってくれたみたいで良かった」


その言葉に、送られてきた物の中からアクアマリンのネックレスを付けっぱなしにしていたことに気づく。

「これ、いきなり届いて驚きました!本当にこれも私宛なんですか?」

「もちろん。そうじゃなければ君の元に届かないだろう?」

さも当然のようにサラリと言う専務。

「一秘書に無駄遣いしすぎでは?」

「仕事としては秘書だけれど、プライベートは俺は君にアタックする男の一人でしかないからな」


クスクスと笑って言い切る。
いっそ清々しいほどド直球ストレートに示されるそれは、私としては歯痒くて仕方ない…。


詰まった私は、そのまま黙って視線を窓の外へと移した。


車は首都高に入り都内を抜けて、湾岸線に入り海沿いを行く。
有名な大きい橋を渡ると、そこは隣県の県庁所在地。
観光名所もある土地だ。


「とりあえず、軽くお昼食べようか?休日はブランチって言ってたからまだお腹空かないだろ?」

「はい。よく覚えてますね?」

「もちろん、菜々子の事だからね」


だから、その色気ダダ漏れの流し目やめて…。