高峰くんを前にすると、あの日のことをどうしても思い出してしまって、上手く会話をすることができない。



だって!


男の人にああして抱きしめられたのなんて初めてなんだよ!?


し、しかも!


高峰くんが私をす、すすすす好きだなんて!!!!



「恋愛?何それ、美味しいの?」ってくらい恋愛ど素人の私には、とんでもなく強烈な出来事過ぎて……。


どうしたって心が追いつかないっ!!






そして、2時間目と3時間目の間の中休み。



「Hey!Chiri!恋って何か教えて?」


『すみません。よく聞き取れませんでした』


「だから!恋って何か……」


「ち、ちょっと。美恋ってば何してんの?」



げっそりした私が血眼でスマホに話しかけるホラーな姿を目撃した幸が、心底ドン引きした表情で私の席にやってくる。



「ふふ……いやぁね、恋ってのが何かね、誰か私に具体的かつ分かりやすく教えてくれないかと思ってね……ふふふ」


「こえーわ。とにかく、何があったか直ちに説明して」



後ろの席の高峰くんは、さっきジロと一緒に自販機に飲み物を買いに行った。


この前の出来事を幸に相談するなら今がチャンス。