「初めての恋だなんて、関係ない。私はずっと大志くんが好き。絶対にこの気持ちはなくならない」

「……っ……」

「やっぱり、諦めない。私、絶対に大志くんから付き合ってほしいって言いたくなるようにしてみせる!」



もう泣かない。くよくよしない。絶対に友だちのままでいたいなんて、そんな気持ちにさせない。


私は、本気だもん。本気で恋、してるんだもん。

諦められるわけない。



「夏休みが終わったら、覚悟しててね」



だから笑った。大志くんは面食らったように目を見開いていた。

手は、私から離した。今度その手を繋ぐときは、恋人になったときがいい。


なんて、願っても、いいのかな。



「じゃあね、大志くん」

「おう」



手を振って、別れた。玄関の鍵を開けて「ただいまー」と中に入った。
下駄で擦れた足先。あまりに痛くてお風呂場へ向かった。
シャワーから水を流し、足に当てる。熱を帯びた擦り傷にはそれが気持ちいい。


ジンジン脈打つのは、足先だけじゃなかった。


胸の奥はいつまでも痛みを抱えて、大志くんへの想いの強さを感じさせた。


私は、大志くんに"恋"がどんなものなのかを教えてもらったよ。
だから、今度は私が大志くんに教えてあげる。


だから……待ってて。


私を信じられるように。恋を信じられるように。


きっと、なれるから。