俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



頬に涙が一筋流れた。それを見た大志くんもまた悲痛に顔を歪ませる。顔の方に手を伸ばして、やめた。大志くんの指先は震えているようにも見えた。


彼はなにをそんなに躊躇しているんだろう。なにをそんなに怖がっているの?


なにがそんなに彼を恋愛から遠ざけているんだろう。



「嫌だ、そんなの……」

「…………」

「私、頑張る。大志くんが恋を信じられるように……」



毎日でも言うよ。大志くんが好きだって。この気持ちはずっと、なくならないって、証明してみせるから。


だから、関わらないとか、そんな寂しいこと言わないでほしい。



「そんなことしなくていい。いまは初恋だからって舞い上がってるだけかもしれない。時間が経ったら、いまお前と俺が持ってる気持ちもなくなるかもしれない」

「どうして……?」

「恋が始まれば、あとは終わりしかないんだよ」

「なんでそう思うの?」

「……べつに」



肝心なところは教えてくれないんだね。


涙がどうしようもなく溢れる。大志くんのことを想うだけで、こんなにも。

近くにいるのに、遠いよ。どうして恋には終わりしかないなんて、そんな悲しいこと……。



「好きになった時点でもう先は見えてる。それなら俺はお前とは付き合えないし、友だちでいたい。それがお前を傷つけるなら、俺はお前ともう関わらないようにする」



通らない。私の想いは、彼には届かない。
私と大志くんの間に見えない透明な壁があるみたいだ。


その壁はどんなに叩いても、どんな屈強なもので体当たりしても、壊せない。


まるでその壁に私の言葉が遮られているみたいだ。