大志くんの綺麗な瞳が水分を含んだようにうるっとしているように見えた。
「……俺のことは好きになんなって言っただろ」
「そんなの無理だよ。好きになることを自分の意思でやめたりできないんだよ。大志くんだってわかるでしょ?」
「……っ、俺はやめとけ」
「嫌だ。絶対に嫌。じゃあなんで優しくしたの?なんで守ってくれたの?」
好きにさせたのは、他でもない大志くんなんだよ。
「私は他の女の子とは違うよ。本気で大志くんのことが好きだよ」
「やめろ」
「大丈夫、大志くんを好きって気持ちはなくならないもん」
本気だよ。本気の恋だもん。
大志くんのことを見てきて、裏も表もある君だけど、優等生の君も、無愛想な君も、口の悪い君も、優しい君も、全部、全部含めて好きになったんだよ。
試してくれていい。私のなかにある恋心。
切なげに顔を歪ませるのは大志くん。ズキッと、胸が痛んだ。そんな顔をさせたかったわけじゃない。
「お前のことは嫌いじゃない。最近は自分でもどうかしてるって、そう思う。でも、」
「私のこと、好きじゃない……?」
意地悪な質問をしてしまった。けれど、聞かずにはいられない。
「好きだよ」
はっと顔をあげる。だけど、目が合わない。私たちの横をたくさんの人たちが通り過ぎていく。
私の肩と誰かの肩がぶつかって、よろける。咄嗟に大志くんが私の身体を支える。とくに転びそうになったわけでもないのに。
こんなところが優しくて、とてもずるい。
「こっち行こう」
「うん……」



