俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



肩に、大志くんの手が乗っかる。触れられているところか体温がにじんでくるように熱くなっていく。



「怒んなって」

「…………」



顔をあげる。目線を合わせるようにしゃがみこんだ大志くんと目が合うと、彼が口の端を少しだけ持ち上げた。
そのなんでもない仕草にキュンとしている自分に気づいた。


ずるい、ずるい。


あんなに恥ずかしくて、もう大志くんの顔見れないって思ったのに、微笑みを見ただけなのに、全部どうでもいいって思っちゃった。


それぐらい大志くんの笑顔には破壊力がある。



「拗ねてるお前もおもしれぇな」

「な……っ!そ、そこは、"拗ねてるお前も可愛いな"、でしょ!?」

「は?ふざけんな。お前のどこが可愛いんだよ」

「ひどい!」



手で口元を隠しながら笑う大志くん。私も頬を膨らませていたのに、つられて笑う。


ふたりで大きな木の下でしゃがみこんで笑いあって、客観的に見てなにしているんだろうってふと思ったけれど、幸せすぎるからいいや。


夏休み、会えなくても、いま幸せすぎるから、考えられない。



「帰るぞ」

「うん」



立ち上がって、大志くんについて行く。
背中を見ていると、ついその大きな背中に触れたくなる。ずっと、そばにいたくなる。


てっぺんで燦々と存在感を放つ太陽。青い空の画角の大半を占める夏の代名詞、入道雲。
上をむくとそんな景色が私の初恋を彩ってくれていた。


恋をしていることを、まるで、世界が教えてくれているみたいだ。