俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



自分でも自分の顔に花が咲いたのがわかった。

さっき少しだけ見せてもらったノートはとてもわかりやすく公式や要点などがまとめられていた。
字はとても綺麗とは言えないけれど、色の使い分けがされていて、見やすい。

やっぱり、ノートを工夫して書いてると、成績も上がるのかな。私が得意なのは英語だけだから。



「うん、ほら」

「ありがとう」



ノートを受け取る。そしてパラパラとページをめくっていった。
そうしていると「俺ちょっとトイレ」と佐藤くんが席を外した。


そしてふと佐藤くんのノートのとあるページが破り取られていることに気づく。

雑に、すこしだけその残りがノートにくっついている。その形に見覚えがあって"まさか"とは思ったのだけど、念のためと、かばんから昨日立て続けに受け取ったアレを取り出した。



「嘘……」



ぴったりとくっついて破り取られていたノートの1ページになった2つのそれらを見て驚愕する。

目の前に座っていた大志くんが動かしていた手を止めて「おい、それって……」と声をあげた。

大志くんを見る。息を吸うのも忘れて止まりそうな思考を必死になって動かした。


この気持ち悪い手紙の差出人って……佐藤くんだったってこと?
あの、優しく笑う佐藤くんが……?



「おい、大丈夫か?」

「う、うん……平気……」

「平気って顔じゃねぇーだろ、それ……」



大志くんが席を立ったとき、その後ろから佐藤くんが戻ってくるのが見えた。

ヤバい。手紙、見られる。そう思ったときにはもう遅くて、佐藤くんの笑顔が固まった。

流れだしそうな不穏な空気を察知し、私さえ我慢すればいいと笑って誤魔化そうとした瞬間だった。

立ち上がっていた大志くんが佐藤くんの胸ぐらに掴みかかったのは。


「た、大志くん……⁉︎」

「おい、お前ふざけんな。お前がこれ書いたんだよな?これ受け取った小田がどんな気持ちだったかわかるか?」

「……っ……」



すごい剣幕で佐藤くんに詰め寄る大志くんに対して、佐藤くんは苦しそうに顔をしかめている。
少なくなってきていたとはいえ、まだ数名の生徒とそれから先生もいるなかでのこの騒ぎだ。
何事かと注目を浴びるし、先生も「どうしたの?」と歩み寄ってきた。


私はオロオロとふたりのことを見ているしかできずにいる。大志くんは私のためにこんなに怒ってくれているのに。



「おい、聞いてんのか⁉︎」

「……聞いてるよ」

「なんとか言ったらどうなんだ!」

「悪かったと思ってるよ。でも俺どうしたらいいかわかんなくて……入学したときから小田さんのことが好きだったから……一緒にカフェ行ったあとから気持ち抑えられなくて……」